英語の音読のコツ:意識すること7つ(区切り・強弱・意味)
音読は「声に出して読むだけ」に見えますが、何を意識するかで練習の中身が大きく変わります。この記事では、入試の長文を音読するときに意識したいことを7つにしぼり、自作の例文で具体的に説明します。全部を一度に意識する必要はありません。1回の音読で1つか2つを選んで試してください。
結論:音読で意識することは、次の7つです。
- 意味のまとまりで区切って、区切りで息をつぐ
- 内容語を強く、機能語を弱く読む
- 文の終わりで声を下げる
- 読みながら意味を思い浮かべる
- 知らない語の発音は先に確かめる
- 速さより正確さを優先する
- 録音して聞き返す
前提として、音読する英文は先に意味を確定させておきます。
始める前に:意味を確定させる
7つのコツのどれも、英文の意味がわかっていることが前提です。わからない語や構文が残ったまま読むと、どこで区切ればいいか、どの語を強く読めばいいかが決められません。辞書と解説で、すべての文の意味を説明できる状態にしてから音読を始めてください。意味を取らないまま回数を重ねる音読があまり役に立たない理由は「英語の音読は意味ない?効果が出ない人の5つの原因」で書いています。
1. 意味のまとまりで区切って、区切りで息をつぐ
英文を意味のまとまり(チャンク)で区切り、まとまりの切れ目で短く間をとります。1語ずつ区切って読むと、意味のつながりが切れてしまいます。反対に、長い文を一息で読もうとすると、途中で苦しくなって意味の途中で息をつぐことになります。
If you want to remember new words, / try using them in conversation / within a day or two.新しい単語を覚えたいなら/会話の中で使ってみよう/1日か2日以内に
カンマの後と、within の前で短く間をとると、「条件」「すること」「いつまでに」の3つのまとまりが声で伝わります。区切る場所の目安は「スラッシュリーディングとは?区切る場所のルールと例文」にあります。
2. 内容語を強く、機能語を弱く読む
英語では、意味の中心になる語(名詞・動詞・形容詞・副詞などの内容語)がはっきり強く読まれ、文法上の働きをする語(冠詞・前置詞・代名詞・助動詞などの機能語)は弱く短く読まれることが多いです。全部の語を同じ強さで読むと、日本語のような平らな読み方になり、どこが大事な情報なのかが伝わりにくくなります。
She left her umbrella / at the station / on her way to work.彼女は傘を置き忘れた/駅に/仕事に向かう途中で(太字が強く読む語の例)
どの語を強く読むかは文脈で変わることもあります。たとえば「傘ではなくかばんを忘れた」と対比するときは、umbrella がいっそう強くなります。迷ったら、お手本の音声でどこが強く聞こえるかを確かめてください。
3. 文の終わりで声を下げる
平叙文の終わりでは声を下げます。文末で声が下がると、聞いている人にも自分にも「ここで1つの文が終わった」ことがはっきりします。文の途中で声が下がってしまう、または最後まで上がったまま、という読み方は、文の切れ目をとらえられていないサインかもしれません。
疑問文のうち、Yes / No で答える疑問文は文末が上がることが多い、などの例外はあります。まずは平叙文で「文末で下げる」ことを意識するだけで、読み方がかなり変わります。
こうした、まとまりで区切る・強弱をつける・文末で下げるといった読み方の特徴は、プロソディと呼ばれます。成人の英語学習者149名を調べた研究では、日本語を母語とするグループで、プロソディが読解の成績を予測していたと報告されています(Jiang, 2016。相関を調べた研究で、プロソディを練習すれば読解が伸びるという因果関係までは示していません)。
4. 読みながら意味を思い浮かべる
声に出すことに集中すると、内容が頭から抜けていきます。区切りごとに「今どんな場面・どんな主張か」を思い浮かべながら読みます。物語なら場面を映像で、論説文なら筆者の主張と具体例の関係を、頭の中で追いかけるイメージです。
確かめ方は簡単で、読み終わったら本文を見ずに、要旨を日本語で1〜2文言ってみます。言えなければ、読んでいる間に意味が抜けていたということなので、区切りを細かめにして、ゆっくり読み直してください。
5. 知らない語の発音は先に確かめる
読み方がわからない語で毎回つかえたり、間違った発音で覚えてしまったりするのを防ぐため、音読の前にお手本の音声を聞いて確認します。問題集の音声がなければ、辞書の発音記号や音声を使います。スラ読オン読のアプリでは、英文を端末の合成音声で読み上げられ、速さを落としたり、区切りごとに間をとったりできます。合成音声は細かい発音の手本としては完全ではないので、つづりと発音がずれやすい語(island, debt, recipe など)は辞書でも確かめると安心です。
反復読みの研究でも、お手本の読みを聞くことは、練習の効果を高める要素の一つとして挙げられています(Therrien & Kubina, 2006)。
6. 速さより正確さを優先する
速く読めるようになることは大事ですが、速さだけを目標にすると、読み飛ばしや言い直しが増え、意味が置き去りになりがちです。小学1〜3年生250名のデータですが、読解の成績を説明したのは単語を正確に読めることとまとまりのある読み方で、読む速さは有意な予測因子ではなかったという研究もあります(Paige ほか, 2017。英語を母語とする子どもが対象です)。
まずは、読み間違い・読み飛ばし・言い直しがない状態で読み切ることを目標にします。正確に読めるようになると、速さは自然に上がってくることが多いと感じています。
7. 録音して聞き返す
読んでいる最中は、自分の読み方を客観的に聞くことができません。スマートフォンの録音アプリで仕上げの音読を録音し、聞き返します。聞くときは、次の3つの観点で確かめるのがおすすめです。
- 意味:聞いていて内容が伝わる読み方か
- 正確さ:読み間違い・読み飛ばし・言い直しがないか
- まとまり:意味の切れ目で間がとれ、文末で声が下がっているか
録音の具体的な使い方と記録のつけ方は「英語音読の自己チェック法:録音で確かめる3つの観点」で説明しています。
7つをどう組み合わせるか
7つを一度に意識するのは難しいので、1回の音読ごとにテーマを決めます。たとえば同じ段落を4回読むなら、次のような分け方ができます。
| 回 | 表示 | 意識すること |
|---|---|---|
| お手本 | 区切りあり | 5(発音の確認)、2(強く聞こえる語) |
| 1回目 | 区切りあり | 1(区切りで息をつぐ)、4(意味を思い浮かべる) |
| 2回目 | 区切りあり | 2(強弱)、3(文末で下げる) |
| 3回目 | 大きな区切りだけ | 1と4を、見える区切りが減った状態で |
| 4回目 | 区切りなし | 6(正確さ)、7(録音して聞き返す) |
1回の練習で同じ文章を読む回数は、4回程度までが目安とされています(Therrien & Kubina, 2006)。回数の考え方は「英語長文の音読は何回やればいい?回数より大事な「やめどき」」にまとめました。リスニングも伸ばしたい人は、この後にシャドーイングを足す方法もあります(「音読とシャドーイングの違いと順番」)。
まとめ
- 前提は、英文の意味を先に確定させること。
- 読み方では、まとまりで区切って息をつぐ、内容語を強く機能語を弱く、文末で声を下げる。
- 頭の中では、区切りごとに意味を思い浮かべ、読み終えたら要旨を言えるか確かめる。
- 準備と確認では、知らない語の発音を先に確かめ、速さより正確さを優先し、録音して聞き返す。
- 1回の音読で意識するのは1〜2つ。回ごとにテーマを変える。
区切りあり・大きな区切りだけ・なしの切り替えと、お手本の読み上げはアプリで使えます。手元の英文を1段落入れて、上の表の順に読んでみてください。
参考文献
- Jiang, X. (2016). The role of oral reading fluency in ESL reading comprehension among learners of different first language backgrounds. The Reading Matrix, 16(2), 227–242. PDF
- Paige, D. D., et al. (2017). Is prosodic reading a strategy for comprehension? Journal for Educational Research Online. 掲載ページ
- Therrien, W. J., & Kubina, R. M. (2006). Developing reading fluency with repeated reading. Intervention in School and Clinic, 41(3), 156–160. PDF