公開 2026-10-22書いた人:セリヌンティウス

英語の音読は意味ない?効果が出ない人の5つの原因

毎日音読しているのに、模試の長文は相変わらず時間が足りない。そんなとき「英語の音読なんて意味ないのでは」と思うのは自然なことです。ただ、効果が出ない理由の多くは、音読そのものではなくやり方の中にあることが多いと考えています。この記事では、よくある5つの原因と対処法をまとめます。

結論:音読は「条件しだい」。意味がわかった英文を、まとまりで、目的を持って読むと効果が出やすい。

  1. 意味がわからないまま読んでいる → 先に意味を確定させる
  2. 発音がわからない語を飛ばしている → お手本で確認する
  3. 毎回新しい英文を1回だけ読んでいる → 同じ英文を日をあけて読み直す
  4. 回数だけを数えている → 1回ごとに確かめることを決める
  5. スラッシュを外さない → 区切りなしの英文で仕上げる

研究から見た「音読は意味ない」

まず、研究からいえることを確認しておきます。同じ文章を繰り返し読む「反復読み」の研究をまとめた Therrien(2004)のメタ分析では、流暢さと理解の両方で効果が報告されています。ただし対象の多くは英語を母語とする子どもで、効果は練習した文章そのもので大きく、初めて読む文章への広がりは小さめでした。

また、日本の大学生を対象にした実験では、意味のまとまりを無視して区切った文章が、中級の読み手の理解を下げたという報告もあります(Yamashita & Ichikawa, 2010)。

つまり、「音読すれば必ず長文が読めるようになる」とはいえない一方で、「音読は意味ない」とも言い切れません。どんな英文を、どんな読み方で読むかによって結果が変わる、というのが正確なところです。日本の高校生が入試レベルの英文で長期間練習した場合の効果を、きちんと比べた研究はほとんど見当たりません。詳しくは「英語の音読は効果ある?研究でわかっていること・いないこと」にまとめています。

そのうえで、効果が出にくくなる原因を5つ見ていきます。

原因1:意味がわからないまま読んでいる

いちばん多い原因です。わからない語や、構造がつかめない文が残ったまま声に出すと、音読は「文字を音に変える作業」になります。口は動いていても、頭の中では英文を理解する処理が起きていません。

対処:音読の前に、辞書と解説を使って意味を確定させます。全文訳と照らして、自分の理解がずれている所を直してから読み始めてください。目安は「調べた結果、全部の文の意味を説明できる」状態です。

たとえば次の文で、主語がどこまでかわからないまま読むと、「何が」「どうした」がつかめません。

What surprised the researchers most / was how quickly the birds learned / to open the box.研究者たちを最も驚かせたのは/鳥たちがどれほど早く覚えたかということだった/その箱の開け方を

What から most までが主語で、動詞は was です。ここが見えてから音読すれば、区切りごとに意味を受け取りながら読めます。区切る位置の目安は「スラッシュリーディングとは?区切る場所のルールと例文」で説明しています。

原因2:発音がわからない語を飛ばしている

読み方がわからない単語のところで、もごもごとごまかしたり、日本語の感覚で適当に読んだりしていませんか。そうすると毎回同じ所でつかえるうえに、その語をリスニングで聞いても気づけません。

対処:音読の前に、お手本の音声を聞きながら英文を目で追い、知らない語の発音を確認します。問題集の音声がなければ、辞書の発音記号や音声、端末の読み上げ機能で確かめます。スラ読オン読のアプリには、英文を端末の合成音声で読み上げる機能があり、速さを落として聞くこともできます。合成音声は細かい発音までは信頼できないので、つづりから発音が想像しにくい語は、辞書でも確認してください。

研究でも、反復読みを効果的にする要素として、お手本の読みを聞くことが挙げられています(Therrien & Kubina, 2006)。

原因3:毎回新しい英文を1回だけ読んでいる

毎日新しい長文を解き、そのあと1回だけ音読して終わり、というやり方も効果を感じにくい原因です。1回目は意味を取ることで精一杯で、まとまりで読む練習まで進めません。

対処:同じ英文を、1日目に4回前後読み、2〜4日あけてもう一度読み直します。何度か読むうちに、意味を取る負担が減り、まとまりや声の調子に注意を向けられるようになります。ただし、同じ英文ばかりでは初見の英文に触れる機会が減るので、ときどき新しい英文を黙読して、練習の効果が広がっているかも確かめてください。回数の目安は「英語長文の音読は何回やればいい?回数より大事な「やめどき」」で詳しく書いています。

原因4:回数だけを数えている

「1日30回」のように回数だけを目標にすると、後半は意味を考えずに口だけが動く状態になりがちです。英文を覚えてしまうと、文字を見なくても読めるので、読む力がついたのか、覚えただけなのかがわからなくなります。

対処:1回ごとに確かめることを決めます。たとえば、1回目は「意味を取りながらゆっくり」、2回目は「区切りで間をとる」、3回目は「区切りなしで、文末で声を下げる」。そして、次の3つがそろったらその英文はやめます。

速さだけを目標にしないことも大切です。小学生のデータですが、読解の成績を説明したのは単語を正確に読めることとまとまりのある読み方で、読む速さは有意な予測因子ではなかったという研究もあります(Paige ほか, 2017)。自分の音読を3つの観点で振り返る方法は「英語音読の自己チェック法:録音で確かめる3つの観点」にあります。

原因5:スラッシュを外さない

スラッシュの入った英文はまとまりが見えるので読みやすく、ずっとその状態で練習したくなります。でも入試の問題用紙にスラッシュは入っていません。スラッシュがあれば読めるのに、ない英文では返り読みに戻ってしまう、という人は少なくありません。

対処:区切りありで読めるようになったら、大きな区切りだけ、区切りなし、と段階的に外していきます。次の2つを比べてみてください。

Although the shop is small, / it is famous / for the bread / that its owner bakes every morning.(区切りあり)その店は小さいけれど/有名だ/パンで/店主が毎朝焼く

Although the shop is small, it is famous for the bread that its owner bakes every morning.(区切りなし)頭の中で同じまとまりで読めているか

区切りなしでも頭の中で同じまとまりで意味を取れていれば、スラッシュの練習が身についているサインです。外し方の段階と、次に進む目安は「スラッシュリーディングの卒業:区切りを外していく練習法」で説明しています。

音読以外に原因がある場合

5つの原因を直しても伸びを感じにくいときは、音読より前の段階に課題があるかもしれません。

音読は、意味がわかった英文を速く正確に処理できるようにする練習です。単語や文法の代わりにはならないので、足りない部分があれば、そちらと組み合わせて使ってください。

まとめ

意味の確認、お手本、区切りあり→なしの切り替え、仕上げの記録までの流れはアプリで一通り試せます。手持ちの過去問の英文を1段落入れて、5つの原因を避けた音読を1回やってみてください。

参考文献

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