公開 2026-10-22書いた人:セリヌンティウス

音読とシャドーイングの違いと順番:入試の長文にはどっち?

「音読とシャドーイング、どっちをやればいいの?」という質問はよく見かけます。結論からいうと、2つは似ているようで目的が違う練習です。この記事では、それぞれの違いと、オーバーラッピングを含めた順番、入試の長文読解とリスニングでの使い分けを整理します。

結論:長文読解のためなら音読が中心、リスニングのためならシャドーイングを足す。

  • 音読は文字を見て声に出す練習。英文を前から意味のまとまりで処理する読み方を固めるのに向いています。
  • シャドーイングは文字を見ずに、聞こえた音声のすぐ後を追って言う練習。音を聞き取る力を鍛える練習として研究されてきました。
  • 順番の一例は「意味の確認 → 音読 → オーバーラッピング → シャドーイング」。意味がわかっていない英文でいきなりシャドーイングはしません。

3つの練習の違い

音読・オーバーラッピング・シャドーイングは、どれも英語を声に出す練習ですが、「文字を見るか」と「音声と同時か」が違います。

練習やり方文字音声
音読英文を見ながら、自分のペースで声に出して読む見るなしでもできる
オーバーラッピング英文を見ながら、お手本の音声と同時に重ねて読む見る同時に流す
シャドーイング英文を見ずに、聞こえた音声のすぐ後を影のように追って言う見ない少し遅れて追う

呼び方は人や教材によって少しずつ違い、文字を見ながら後を追う練習を「テキスト付きシャドーイング」と呼ぶこともあります。この記事では上の表の意味で使います。

ねらいの違い:読む力と聞く力

音読:目で見た英文を、前から意味で処理する

音読は文字を見ながら進めるので、読むときの処理に近い練習です。自分のペースで読めるため、意味のまとまりで区切りながら、前から順に理解する読み方を確かめられます。スラッシュの入った英文を使えば、まとまりごとに間をとる練習にもなります。

When the bridge was closed for repairs, / many workers had to leave home / an hour earlier than usual.橋が修理のために閉鎖されたとき/多くの働く人が家を出なければならなかった/いつもより1時間早く

入試の長文で時間が足りなくなる原因の一つは、文の最後まで読んでから日本語の語順に並べ替える「返り読み」です。音読で前から読む処理を繰り返すことは、この癖を減らす練習として使えます(区切り方は「スラッシュリーディングとは?区切る場所のルールと例文」)。

シャドーイング:耳から入った音を、すぐに音として再現する

シャドーイングは文字を見ないので、頼れるのは耳だけです。聞こえた音をすぐに口で再現しようとすると、意味よりも先に音そのものに注意が向きます。弱く短く発音される語や、語と語がつながって聞こえる部分を聞き取る練習として、主にリスニングの文脈で研究されてきました。

オーバーラッピング:2つの橋渡し

オーバーラッピングは、文字を見ながらお手本と同時に読むので、音読とシャドーイングの中間です。自分の読みとお手本のずれ(速さ、区切る位置、強く読む語)に気づきやすく、シャドーイングに入る前の準備として使えます。

研究でわかっていること

シャドーイングは「音の処理」に効きやすいとされる

日本の大学生30名を対象にした Hashizaki ほか(2025)は、先行研究の整理の中で、シャドーイングは学習者の注意を内容より音に向けさせ、それによって音を聞き取る処理(ボトムアップ処理)を伸ばすと考えられている、と紹介しています。同じ論文によると、Hamada(2016)は日本の大学生43名を初級・中級の2群に分けて調べ、基礎的なリスニングテストの得点が伸びたのは初級の群で、中級の群では伸びなかったこと、発展的な問題ではどちらの群にもはっきりした伸びがなかったことを報告しています。

つまり、シャドーイングは音がうまく聞き取れない段階の人ほど効果が出やすい可能性がある一方、それだけで難しい内容の聞き取りが伸びるとはいえない、ということです。Hashizaki ほか(2025)自身の結果からも、何を伸ばしたいかによって必要な練習量が違う可能性を示しています。

シャドーイングを、聞くこと(入力)と話すこと(出力)をつなぐ練習として体系的にまとめたものに、門田修平さんの英語の著書(Kadota, 2019)があります。

音読(反復読み)の研究

音読の側では、同じ文章を繰り返し読む「反復読み」の研究が多く、流暢さと理解が伸びたという結果がある一方、効果は練習した文章で大きく、初めて読む文章への広がりは小さめだと報告されています(Therrien, 2004)。詳しくは「英語の音読は効果ある?研究でわかっていること・いないこと」で紹介しています。

わかっていないこと

音読とシャドーイングを組み合わせた場合に、どちらか一方より効果が上乗せされるのか、どんな順番が最もよいのかは、探した範囲でははっきりしていません。以下の順番は、それぞれの練習の性質から考えた一つの組み立て方です。

順番の例:1つの英文を使い回す

同じ英文(100〜200語の段落)を使って、次の順に進めると、無理なく難しさを上げられます。

  1. 意味を確定させる:辞書と解説で、わからない語と構文をなくします。ここを飛ばすと、後の練習がすべて「音をまねるだけ」になります。
  2. お手本を聞きながら目で追う:区切る位置、声を下げる位置、知らない語の発音を確認します。
  3. 区切りあり音読(2回):自分のペースで、まとまりごとに意味を取りながら読みます。
  4. オーバーラッピング(1〜2回):お手本と同時に読み、ずれた所に印をつけます。
  5. シャドーイング(数回):英文を伏せて、音声の後を追います。言えなかった所は英文を見て確認し、もう一度。
  6. 区切りなしで音読(1回):最後に文字に戻って、普通の英文を前から読めるか確かめます。

シャドーイングでは、たとえば次のような文で、弱く短く読まれる語(a, of, to など)や、語どうしがつながる部分を落としやすくなります。言えなかった所こそ、自分が聞き取れていない所です。

A lot of us / tend to put off / what we don’t want to do.私たちの多くは/先延ばしにしがちだ/やりたくないことを

手順1〜3と6だけなら、ふだんの音読の手順と同じです(「英語長文の音読のやり方:1日の手順と復習」)。リスニングも伸ばしたい人は4と5を足す、と考えると組み立てやすいと思います。

お手本の音声について

オーバーラッピングとシャドーイングには、お手本の音声が必要です。問題集に付属の音声があればそれが一番です。スラ読オン読のアプリでは、端末の合成音声で英文を読み上げられ、速さを「ゆっくり・やや遅め・ふつう」から選んだり、区切りごとに間をとったりできます。ただし合成音声は、音のつながりや弱く読まれる語の発音が人の読み方と違うことがあるので、リスニング対策のシャドーイングには、できれば人が読んだ音声を使ってください。

入試ではどう使い分けるか

長文読解が課題の人

読むのが遅い、返り読みが多い、という人は音読を中心にします。シャドーイングは文字を見ないので、目で英文を前から処理する練習にはなりにくいからです。読む速さの悩みについては「英語長文を読むのが遅い原因と、速く読むための練習」で、原因の切り分け方から書いています。

リスニングが課題の人

大学入学共通テストでは、リーディングとは別にリスニングがあり、令和9年度(2027年1月実施)の出題方法では、リスニングは試験時間60分(うち解答時間30分)、100点とされています。リーディングと同じ配点なので、聞き取りが苦手な人は、音読にシャドーイングを足す価値があります。特に「スクリプトを見ればわかるのに、聞くとわからない」という人は、音の処理でつまずいている可能性があり、シャドーイングが合いやすいタイプです。

どちらもまだ苦手な人

まずは音読から始めるのがおすすめです。文字を見ながら意味を確かめる段階を飛ばしてシャドーイングをしても、何を言っているかわからない音をまねるだけになりやすいからです。音読に慣れてから、同じ英文でオーバーラッピング、シャドーイングと進めてください。

よくある失敗

まとめ

区切り付きの英文と読み上げを使った音読は、アプリでそのまま試せます。音読を1日に何回やればいいかは「英語長文の音読は何回やればいい?」にまとめました。

参考文献

次に読む

この方法をアプリで試す(無料・登録なし)